退院するのにひとつの検査をパスしなくてはならない。
それは
“CT検査(ヨード造影剤投与)”
普通のCTとは違い、
ヨード剤を点滴投与する事で
全身の臓器をよりハッキリと診る事が出来る。
ちなみに、
自分の扁桃部位にある膿みは、
普通のCTでは見えないので
ヨード造影剤投与するしか方法が無い。
(一応確認もした。)
だが、
ヨード造影剤投与には副作用があり、
その中でも”喘息持ち”とは最悪の組み合わせと言われている。
副作用の可能性は通常の10倍。
副作用には、
吐き気や気分が悪くなる、蕁麻疹、かゆみ等の
“即時性副作用”と、
検査終了〜10日後くらいに起こる頭痛、蕁麻疹等の
“遅発性副作用”がある。
この位は許容範囲だけど
一番怖いのは”最悪”の結果を招く可能性があること。
もちろんこれは可能性の問題なので
どんな物にも100%の安全性などない。
やらなきゃ分からない=退院出来ない。
じゃあやるっきゃないっしょ。
確かに極端な副作用は怖いけど
怖いなんて言ったら何でも怖いよ。
午後の検診。
「じゃ、今日も患部洗浄していきましょう。麻酔。
はい、大きく口を開けて〜。」
ジョバジョバジョバ!
おええええええええええええええ!
何かもうエブリデイ軽い拷問だな笑。
「ヤマグチさん、明日のCTですが、
もう腫れも引いてますし
血液検査の結果も良好なので、
検査OKなら明日退院も有り得ますね。」
「ええっ!ホントですか!」
退院は最短月曜って言われてたので
嬉しい嬉しい嬉しい!!!
(ん?待てよ・・・。)
「・・・先生、CT検査OKで退院と言う事は、
検査NGの場合もあるって事ですよね。」
「ありますね。」
「要は膿みが残っていたらダメなんですよね。」
「膿みが残っていたら、また麻酔して注射器で吸引します。」
「思ったより下に降りていた場合とかは・・・。」
「口の中から届かなかったら、頸部の外側から針で吸引、
身体の深い位置にあったら針が届かないので、
全身麻酔で外側から頸部切開しての手術になります。」
「ちなみに、膿みがもっと下にあった場合は・・・」
「血液中に入って・・まで行くと
かなり危険な状態と言っていいですね。」
「で、ですよね・・・。」
そう、今までは検査OKの事しか考えてなかったけど
検査NGの可能性も50%あるのだ。
その50%には”結構な手術”と”長期入院”が含まれている。
もちろん、CTで何かが起こる可能性もある。
二者択一でこの差。
(あ、そうか・・・そう、だよね。)
生まれて初めて
“運を天に任せる怖さ”を感じた。