たんたん。

運命的な出会いによって

我が家にネコがやって来る事になった。

ただいま入院中。

「It's now or never.」
(ちょっとだけ元気になった。)

 

 

2009年11月2日の夜のこと。

「ねえねえ、

ウチの近くでみゃあみゃあネコが鳴いてるんだよね。

暗くて姿は見えなかったんだけど。」

深夜、撮影から帰ったらカミさんが。

ここまではよくある話。

 

明けて翌日。

自分の誕生日と言う事もあり、二人でお出かけ。

「そういえばさ、昨日のネコってどの辺にいたの?」

「この辺だよ。

にゃー、にゃー。もういないみたい。」

(呼びかけたが返事は無い。)

 

「・・・あの、いるんだけど。」

黒と白のコの背中が垣根の奥に見える。

どうやら一晩中ここにいたようだ。

(昨夜は雨だったのに・・・。)

 

「おい、どーしたー。にゃんこー。」

垣根をかき分けて触っても、ちらとこちらを向くだけ。

「もしかしてケガしてんじゃね?触っても動かねえもん。」

「ええっ!どうしよううう。」

「にゃーにゃー。」

 

あわてて家に戻り、

まずは動物病院を探す。

自分の誕生日でもある11月3日は祝日、やってる所は少ない。

10本位電話してようやく確保。

カゴとタオルを持ってまた同じ所へ。

まだいた。

 

「にゃんこー、病院行くぞー。」

「にゃあにゃあ。」

両脇を触っても全然暴れずいいコ。

でも両脚は引き摺っていて動かない。

奥に手を伸ばし、垣根の外に。

 

(うわっ!!)

背骨が折れて飛び出ている。

出血も酷い。

そしてもうひとつ、

カミさんには話していないが

ここに書けない状態でもあった。

(このブログ見てるので)

 

「やっぱ、車に轢かれたんじゃねーかな。」

カゴに入れて車で向かう。

全然騒がないし、

暴れないし、とてもいいコ。

「もうちょっとだぞー。お医者さんだから、もう大丈夫。」

 

看てもらった結果、

やっぱり背骨が完全に折れて突出していた。

最高に快くなったとしても

下半身はもう動かないらしい。

でも、すごくイイ先生。

頭をなでながら

「今日、ここに連れて来てもらってよかったね。」

あとはお願いします、先生。

 

数日後、

仕事の合間を縫って入院先に面会に行く。

少し元気になったみたい、よかったあ。

ここの病院はだっこさせてくれるんだね。

腿の所をしっかと掴んでいて可愛い。

 

先生の話だと、

事故後、放置されていた時間が長かった為

感染症が酷く、まだ手術が出来ない状態らしい。

背骨が折れた事で神経も完全に断裂してしまい

やっぱり歩けるようになるのは無理との事。

 

「いろいろ検査した結果、正直ダメだと思いました。

でも、あの連れて来られたタイミングが

助かるかどうかのギリギリだったみたいですね。

よくここまで持ち直しましたよ。」

(あ、あぶねー。よかったあ、間に合ってえ。

これも運命だよ。きっと!)

 

そして。

「ヤマグチさんは善意でこのコを連れて来てくれたと思うんです。

それはとても良い事で、このコも感謝しているでしょう。

ただ、今後の事に関しては話は別です。

見ての通り、このコは背骨が折れてしまっているので

もう歩く事は出来ません、おしっこやうんちも自分では出来ません。

だから、まず圧迫排尿を覚えてもらう事になります。

一日二回は絶対にやってもらいます。

やらないと命にかかわる病気になってしまいますので。

あと、これだけのケガをしているので

現実的な話、もの凄くお金がかかります。

時間、労力、お金が絶対的に必要になります。

だから、もしこのコの面倒を見ようと思って下さるのなら

絶対的な「覚悟」が必要になります。

ただ、

ここでヤマグチさんが面倒が見れないと言ったとしても

それは責められる事でも何でもありません。

そこまでして野良猫の面倒はみると言うのは

普通は無い事ですから。

ただ、可哀想と言うだけの理由で飼おうと思わないで下さい。

それでは皆不幸になります。

今日でなくてもいいので、よく考えてお返事下さい。」

 

「大丈夫ですよ、ウチが面倒見ます!いいよな♪」

「うん!」

カミさんと共に即答した。

 

今後の事をいろいろ話して今日は終わり。

ウチに帰るまでは、まだまだ時間がかかるみたい。

早く快くなっておうちに帰ろう!

 

「可愛い」だけでは猫は飼えない。

二人共、以前猫を飼っていたので

それはよく知っていた。

だけに、以前からウチでは

「ネコを飼うか否か。」

が懸案事項だった。

 

二人共、超ネコ好きなんだけど

オレが喘息を持っているからだ。

だから、ひとつ決まりを作った。

「いくら可愛くても可愛いと言う理由だけでは飼わないようにしよう。

ただ、何かどうしようもない事が起きた時は飼ってもよしとする。」

いきなりではあるが、その時はやってきた。

 

会った日がオレの誕生日だったので、

名前は「たんたん。」

今日からウチは三人家族になった。