かかりつけの病院の先生の紹介で
たんたんの再検査をする為、
都内某所にある動物専門の大病院に行く。
たんたんの病気は
“心房中隔欠損症”。
「心房中隔欠損症とは。」
心臓には、真ん中で左右に分ける壁がある。
生まれたばかりの猫は皆そこに”穴”が空いているのだが、
大きくなるにつれて閉じる。
でも、
たんたんは閉じなかった、
と言う先天性の病気。
閉じないと何がいけないかと言うと・・・。
心臓にある血液は
半分は全身へ、半分は肺へ行く。
全身に送られた血液は巡って心臓に戻り、
肺に送られた血液は心臓に戻って来る、それが正常。
たんたんの場合、
心臓の真ん中の壁にある穴から
一方的に肺に送られる側(左心房→右心房)に漏れている為、
全身を循環する血液が少しずつ減り、
肺の方の血液が少しずつ増えている。
つまり片方の心臓に負荷がかかっている事になる。
他にも全身にわたる酸素量が減るとかあるが、
この病気がいろいろな病気の根源(合併症)になっている。
(先日は、それが原因で”肺水腫”になった。
フィラリアになると命が危険に晒される。)
かかりつけの病院の検査では病名確定に至らなかった為、
今後の治療方針を決めるために
より施設の整った大病院で再検査となった。
(外科、循環器科、内科等、大学病院並みに分かれている。)
(うっわ、ほんとに大きいな。)
ひろーいロビー。
席間も1m以上の超ゆったりで40席以上ある。
(おお、診察室は8番まであるよ。)
人間の大学病院と何ら変わりない。
(因に4番は欠番。計7室だね。)
予約は朝イチ、これならあまり待たないのかな?
と思いきや、
9時になったらどんどん人がやって来た。
95%がワンコだ、にゃんこは少ないのかな?
あっと言う間に待合室は満杯に。
満杯と言うか、人でね汗。
皆心配なのだろう、
1匹の小型犬に付き添いが2〜3人。
心配する気持ちはとても分かるし、
大型中型犬なら移動も大変だろうから分かる。
でも、
付き添いの家族達で待ち合い席は満杯。
重篤なコを連れた飼い主さん達は立ったまま。
しかも・・・
五月蝿い。
おそらく初対面であろう、初老の女性3人(+家族)。
各々が自分のコの生い立ちから現在の事まで
騒々しく語っている。
(自分の話だけをし合っている。)
コミュニケーションや情報収集も大事だけれど
モノには限度と言うモノがある。
皆、
間違い無く犬が好きだから飼っているんだよね。
その愛情を
今日ここに来ているコ達にも注いで欲しい。
命に関わる病気やケガで来ている
犬達、猫達、人達が沢山いるのだ。
(その為の専門病院なのだから。)
「はーい、◎◎ちゃんもご挨拶して〜」
「きゃー!カワイイ〜♡」
「じゃあ、◎◎ちゃん達もご挨拶しないとね♪」
ワンコ同士をだっこして近づける。
ぎゃうぎゃうぎゃう!!!!
狂った様に吠えるわんこ達・・・。
(そら当たり前だわな。)
こういう場面に出くわすといつも悩む。
30年前の自分なら躊躇無く注意しているだろう。
ただ、
病院の待合室、しかも命にかかわる重篤なコ達も
そしてそれを案じる飼い主達がいる中、
これだけ騒げる人達に
そもそも常識なんて通用するのだろうか。
(常識があるのなら、もう少しトーンは抑えられる筈。)
ただ、
注意した事で騒動になってしまっては、他の人達に迷惑。
それでは本末転倒だ。
でも、
騒々しさは終る事を知らない。
(もうダメだ、我慢ならん!)
喉元まで言葉が出掛ったとき、
“ぴた”と静かになった。
診察の為、一人減ったからだ。
巧い具合に順番に呼ばれた事で
待合室は安寧な刻が訪れた。
(一人減っただけで無言てのも凄いな。)
静かだとこんなに穏やかな場所なのか・・・。
安寧は長くは続かなかった。
診察後に揃った3人達は、他の女性達を巻き込み
その場は井戸端会議室に姿を変えた。
まあ、
この人達の事はもういい。
ここに再び来る事は二度とないだろうから。
一方のたんたん。
長きに渡る検査の結果、
「はっきりと分からない。」
と言う結果だった。
どうやら穴は空いてるらしい。
レントゲンとエコーはそれを示していた。
ただ、他の数値を見る限り
そうだとは言い切れないらしい。
麻酔をしてカテーテルでの検査をすれば
ハッキリ分かるらしいが、
麻酔はショックを起こすので(たんたんの場合)
それが命取りになりかねない。
そこは自分と先生の意見は一致。
現在、症状が落ち着いている事から
投薬を続ける事で話はついた。
大病院での検査はこれにて終了。
その後、かかりつけの病院に移動、
薬を処方してもらう。
今日一日、
たんたんは一声も鳴かずに
じっといいコにしてた。
これはおやつをあげないといけないかな笑。
帰り道、
車のラジオを点けた途端、ジョンさんの声。
「イラッと来た時には、
4秒間吸って8秒かけて吐く。
勉強になります!」