「宮森隆行さん。」

自分には特に”師匠”と言う人はいないのだが、

(アシスタント時代は7人に付いていたので。)

宮森さんはそれと呼べる人なのかも知れない。

(宮森隆行さんはESPER主催のヘアメイクアップアーティスト。)

 

宮森さんと出会ったのは

20年くらい前。

自分に無いセンス、技術をモノにするには

自分の目で直接見るしかない。

だから”ESPER”の門を叩いた。

 

特に宮森さんの”ウィッグ、ヘアピース/ウィッグ使い”は

自分の想像の域を超えた素晴らしさがあった。

突然押しかけたので

事務所入りは叶わなかったが、

「せっかく来てくれたんだから、何か一緒にやろうよ。」

と東コレがある度に声をかけてくれた。

 

「ヤマグチ君は”裏ESPER”だね。」

と言って可愛がってくれた。

 

コレクションのヘアメイクは

通常の撮影の仕事とは全く違うので

本当に勉強になった。

 

また、

20代の頃”完璧主義”過ぎた自分の

肩の力を抜いてくれたのも宮森さんだった。

 

「良い意味で”手抜き”出来ると、ヤマグチ君はもっと良くなるよ。」

 

これ

本当に図星で、

自分でも分かってんのに

なかなか直せなかった事だったんだよね。

宮森さんも言いにくかっただろうなあ。

 

でも、

その一言で本当に変わる事が出来た。

それがなかったら今の自分はなかったと思う。

 

宮森さんは物腰こそ柔らかいけど

仕事にはもの凄く厳しい人で

“プロ”と呼べる尊敬すべき人だった。

だからこそ素直に聞けたんだと思う。

そんな大恩ある宮森さんが亡くなった。

 

あまりにも

あまりにも早く

ただ

驚くだけだった。

50代なんてまだまだこれからじゃないですか、

宮森さん。

また中目黒のお寿司やさん行きたいっすね。

宮森さんのおごりで。笑

 

もっともっと立派になってから

直接言いたかったお礼の言葉。

それを伝える事が出来ないのが心残りです。

「宮森さん、本当にいろいろ勉強になりました。ありがとうございました!」