「普段から着物を着る。」
昔からずっとやりたかった事のひとつ。
もちろん、
「着物が好き。」
だからだ。
これがひょんな事で現実になった。
友人に日舞をやっている人がいて
着物の話をしていたところ、
その日舞のお師匠に着物の着付けを教えて頂けるかも
と言う話になった。
この時点ではあくまで「かも。」
その方は普段着付けを教えたりしていないので
(日舞のお弟子さんに教える事はある。)
教える教えないは別として
まずは一度お会いさせて頂いて、
いろいろお話をさせて頂くことに!
通常、着付けを習うのなら、
着付け教室に行けばいい。
それに、仕事で着物の撮影にも携わっているのだから
それ絡みで習ってもいい筈だった。
キッカケになったのは
友人が見せてくれた一枚の写メ。
それは先生の後ろ姿だった。
その着物と帯の選び方のセンスの良さに
(ああ、この方に教えて頂けたら。)
と直感で思ったのだった。
先生は柔和で美しい方だった。
お召しになっている着物と帯のセンスが
とても素晴らしかった。
そして、
着付けもとても、とても素晴らしかったのだ。
着物と言うと
「きつい。苦しい。」
と言うイメージがあるが、
先生の着付けはゆとりがあるのに
崩れが無いと言う素晴らしい着付けだった。
もうその時点で心の中では
(是非お願いします!)
と切望していた。
先生は普段着付けを教えてはおられないけれど、
日舞の家元であるので
着物とは切っても切れない縁の方。
着物に関する自分の考え方、想いをいろいろお話して下さった。
そこには自分の求めているそれがあった。
先生も自分の話を十分聞いて下さった上で、
「それでは、まず浴衣を着る事から始めましょうか。」
と言って下さった。
「はい!お願いします!!」
日本で浴衣と言うと、
(夏祭りや花火大会でイカつい人が着ているやつ?)
と言うイメージだと思う。
しかし!
その常識は根底から覆された!!
目の前に出された反物達。
「ええっ!浴衣ってこんなに素晴らしい物だったのですか!
僕の思っている浴衣とは全く違います!!」
高揚して胸がドキドキした。
手に汗をかき、鳥肌も立った。
先生と呉服屋を営むご主人が自分の為にいくつか選び
持って来て下さった複数の反物、
それは
「竺仙。」(ちくせん)
の反物だった。
あまりにも素晴らしくて
この歳まで浴衣が何なのか知らなかった自分が恥ずかしかった。
いや、恥ずかしいより嬉しさの方が断然上だった。
嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
いくつかの竺仙から、
一番初めに目についたお気に入りの一枚を選んだ。
「これにします!」
「ああ、これはとても似合うわね♪」
(浴衣を誂えるなんて贅沢♪)
こんな浴衣見た事ないよ!最高!!
(この浴衣を自分が着るのか・・・。)
考えただけで嬉しくて、夏が待ち遠しくなった。
「先生!6月になったら着てもいいですか!!」
「ダメです。この柄は着るなら7月からですよ。」
ああ、
この奥深さ、奥ゆかしさ?
帯は先生とご主人に選んで頂いたのだけれど、
とても素敵なんだなあ。
先生もご主人も
「凄い似合う♪」
と言って下さって大大大満足。
採寸は先生自らして下さった。
「先生!息はしても大丈夫でしょうか!!」
笑。
その後、
先生、ご主人、友人、自分でお茶を頂きつつ
いろいろお話させて頂いた。
(途中から完全「猫」の話になってしまったが。笑
先生もご主人も友人も、そして自分も猫が大好きだったのだ。)
とても楽しく、充実した時間を過ごさせて頂いた。
本当に嬉しかった。
「自ら人に教えを請う。」
のは実に美容師以来、何十年ぶりのこと。
着物に関しての自分の知識は、先生に比べたら無に等しく
これからいろいろな事が学べると思うととても嬉しい。
今後は先生の時間の余っている時にお邪魔させて頂いて
少しずつ、少しずつ学ばせて頂いて、
数年後にはきちんと着物が着れるようになりたいと思う。
もちろん、女性の着付けも教えて頂ける事になったので
(もっと後の話だけれど。)
女性にもきちんと着せてあげられるようになりたいと思う。
この歳になって、
何かを一から教えて頂けるなんて
とても、とても嬉しいのだ。