私を知っている人は
私の事を生まれながらの猫好き(笑)
と思っているかも知れないが、
実は元々猫は苦手だった。
猫は嫌いって訳ではなかったのだが、
“猫はひっかく”
“シャーッ!って怒る”
と言うイメージが子供の頃からあり、
近寄り難い感じは否めなかった。
そこへ来ての
“ゲゲゲの鬼太郎”。
おぼろげな記憶だが、
ねずみ男が鬼太郎に
「おい!ねずみ男!この円(結界)から出るんじゃないぞ!」
と言われていたにも関わらず、
その結界から出てしまった。
そこへ、
猫娘が凄い形相で襲いかかって来た。
的なシーンだったと思うのだが、
その顔、
子供が抱えるトラウマには十分だった。
(新しい鬼太郎の猫娘は
可愛く描かれているけれど、
初期の猫娘は激怖。)
それから十数年後。
既に上京し、
美容師からヘアメイクに転向した位の頃かな。
(22,3歳くらい?)
その頃は、
下北沢の木造アパートに住んでいた。
(四畳半&風呂無し&トイレ共用、
家賃は2万円台だったと思う。)
鍵はこんな感じの。針金で開けれそうなレベル。
そんな或る日、
帰って来て入口のドアを開けると、
後ろから何かが
ひょいと部屋に入って来た。
入って来たのは
ちょい太の茶トラの猫。
どうやら
後ろから着いて来ていたようだ。
可愛いとか触ろうとか
そういう次元ではなく、
とにかく猫は苦手だったので、
ドアを少し開けて、
猫が自然に出て行くのを待つしかなかった。
そのちょい太は、
しばらく部屋をうろうろすると出て行った。
(ふう、よかった・・・。)
下北沢に住んでいて
そんなに猫を見た記憶はない。
猫が苦手だったから、
実際見ていたとしても
覚えていないのかも知れない。
しばらくすると
ドアをガリガリする音がした。
(ん?なんだ???)
今なら(猫!)ってすぐ分かるが、
その頃は猫が爪を研ぐって事さえ
よく知らなかった。
その”ガリガリの元”を確認しようにも、
ボロいアパート(扉は木)だったので
インターホンどころか覗き穴も無い。
そっとドアを開けると、
何かが足元をすり抜けた。
「あ!さっきの!」
そのちょい太の茶トラは、
ひょんとベッドの上に乗り、
我が物顔でくつろぎ始めた。
「おいおい、
入って来ちゃダメじゃないか。」
今なら大歓迎だが、
当時、猫は苦手。
(う〜ん、困った。)
かと言って触れる訳では無い。
=抱っこして強制退去も出来ない。
猫は相変わらず、
ベッドでくつろいでいる。
しばらくの間、
隣同士で座りながらテレビを見ていたんだけど、
だんだん眠くなって来た。
隣を見ると・・・
(あ!もうコイツ寝てやんの!)
仕方ない。
下半分は猫にやり、
上半分で丸まって寝る事にした。
ひとつのベッドで
丸くなって寝ている猫と人間。笑
・・・・・。
・・・・・。
ガリガリガリ。
にゃあにゃあ。
何時か分からないけど、たぶん早朝
猫がドアをガリガリしている。
(なんだ、出たいのかあ。ほらよ。)
とんとんとんとん
足取りも軽く、
猫は出て行った。
その日の晩。
ガリガリガリ。
にゃあにゃあ。
その猫は再びやって来た。
(おいおい、また来たのかよ。)
昨日と同じ場所に陣取り、
同じ様にくつろいでいる。
と言うか寝始めた。
今ならエサを上げたりとか
(来るのを期待して、買っておくに違いない。)
水をあげたりするんだろうけど、
そういう考えは一切出て来なかった。
(う〜ん、困った・・・。)
追い出す事も術も知らず、
その日も上半分で寝た。
そして朝、
ガリガリガリ。
にゃあにゃあ。
帰って行った。
それから、
その猫は毎日来る様になった。
ガリガリガリ。
にゃあにゃあ。
ガリガリガリ。
にゃあにゃあ。
相変わらず、
エサや水をあげる訳でもなく
撫でてあげたりする事もなく、
ただただ一緒の部屋にいるだけ。
当時は冬だったので、
雨露と寒さだけはしのげてたのかな。
下半分は猫、上半分は自分、
ベッドを二分割する毎日。
ただ、
猫が苦手だったにも関わらず、
猫と一緒に居ると
何だか落ち着く感じがして、
決して嫌ではなかった。
その冬の間は一緒だったのかなあ。
残念ながら
その後の事はよく覚えていない。
これが猫との最初の出逢い、
懐かしいな。