「キウイ。」

先日、

上京した高校の同級生達と飲んでいた時のこと、

最後に”フルーツ盛り”が出てきた。

 

何気に食べていて

(”キウイ”って本当に食べる機会ないなあ・・・)

とキウイに手が伸びたとき

(はっ)

と思い出した。

 

「はい♪キウイむいたから持ってって。」

帰省すると

晩ご飯の後は必ずと言っていいほどキウイが出て来た。

ウチは親父も姉貴も果物は好きじゃないので

自分だけ(たまにオフクロ)がもくもくと食べていた。

それが十何年もずーっと続いていたので

(何故いつもキウイなんだろう???)

とは思っていた。

 

そんな或る日、

キウイを無心に食べる自分の姿を見たオフクロが

「アンタ、こんな酸っぱいのよく食べるねえ、

本当にキウイが好きなんだねえ笑。」

と言って笑った。

 

そう、

オフクロは自分がいつもキウイを完食するので

オレがキウイ好きだと思い込んでいたのだ。

オレが喜ぶだろうといつもむいてくれていたのだった。

とても優しい母親だった。

 

「ラストオーダーだけど、何か追加ある~?。」

ふと我に返った。

「ああ、オレはいーや。」

キウイはいつもみたく酸っぱく無く

凄く甘く感じた。