「たんたん123話『うに。』」

梅雨明けした今日。

いつもの流れなら横浜にでも出かけていただろう。

でも、

昨日、妻が肉離れしてしまい松葉杖のお世話になる事に。

それが不幸中の幸いだったのかも知れない。

昨夜に引き続き、うにに会いに行く。

 

(うに〜、来たぞー。)

横になったままのうに。

身動きひとつせず遠くを見ている。

なでなでしてあげると

立ち上がろうと後ろ脚が動いた。

声をかけると口元も動く。

スポイトでお水をあげるとペロペロもした。

いつも名前を呼ぶとひざの上に乗って来るから

そうしたがってるんだろうなあ。

(自分が来るのを待っててくれたのかな。)

だったら嬉しいな。

 

「今日はうにと遊べてよかったよ。」

「うに、やまちゃんが来て喜んでたね。」

その直後、妻の携帯が鳴った。

お義父さんだ。

 

うには16歳。

末期の腎不全、覚悟は出来ている。

でも、こうして

“その時が来たのかも知れない”

と思うと気持ちが揺らぐ。

 

家に入るとお線香の薫り。

うには仏壇の前で静かに横になっていた。

 

(ああ、うに・・・。)

頭をそっとなでてあげると

やっぱり寝ている様にしか見えない。

 

(ああ、何て穏やかな顔なんだ。)

いつもと変わらないうに、それがせめてもの救い。

 

今までよく頑張ったね。

病院通いはいつもいいコだったし、

点滴も注射も暴れずにじっとしてた。

複数の薬も嫌がらずに毎日飲んだ。

えらかったぞ、うに。

 

この世に生を受けた以上、

必ず別離れはやってくる。

これは人でも犬でも猫でもおなじ、

絶対に避ける事は出来ない。

 

だからこそ、

自分に起きる”偶然で必然な出逢い”を大事にしたい。

そんな出逢いって自分の人生の中で、

たった数回あるか無いかなのだから。

(相手が人でも、そして猫でも。)

 

うにとの出逢いはその内の大事な出逢いのひとつ。

ゆっくり休むんだよ、うに。

今まで本当にありがとう。

 

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PS
ごはんやお水を飲ませに毎朝毎晩通った妻、
飼い主として諸々の世話を続けて来てくれたお義父さん、
そして親身になって治療してくれた先生及び看護士さん達、
今まで本当にありがとうございました。