「銀河鉄道の夜。」

「”銀河鉄道の夜”視てたの?」

テレビには何も映っていない。

 

不思議な夢を見た。

 

始まりの場所は

実家、長野の台所。

 

2019年の正月に見た風景と

何一つ変わらない台所。

 

テーブルの上に

手作りらしきケーキがある。

クリーム等の装飾は

一切ないパウンドケーキだ。

ホールの半分が残っていて

ラップがかかっている。

 

親父が作ったんだろう、

たまに作っているらしい。

 

(あ、トイレ。)

思い立った様に

トイレに行く。

 

見えている訳ではないが、

どうやら姉貴が入ってるらしい。

 

(ま、あとで行くか。)

 

そのまま廊下を歩き、

8畳の客間へ。

 

客間を覗くと、

オフクロが

こたつらしき物にあたりながら

テレビを視ていた。

 

自分に気付いたオフクロが、

こちらを向いて言った。

 

「寂しい。」

 

(えっ!)

 

驚いて、

オフクロにさっと近寄る。

 

目の前にしゃがむと、

「寂しい。」

オフクロは

もう一度言った。

 

オフクロが亡くなって

16年経つ。

 

明るく、

気丈で働き者。

いつでも

家族の幸せが一番、

自分は一番最後。

 

自分が最高に尊敬する

唯一の人物だ。

 

辛い、きつい、苦しい、痛い

悲しい、しんどい、疲れた等、

人である以上、絶対ある事だけど、

そういう言葉は

一度も聞いた事がない。

 

そんなオフクロから

「寂しい。」

なんて言葉を聞き、

激しく動揺した。

 

そして、

オフクロは何も言っていないのに、

何故か

“銀河鉄道の夜”

と言うワードが頭に浮かんだ。

もちろん、

読んだ事はない。

 

「”銀河鉄道の夜”視てるの?」

 

するとオフクロは、

イヤホンの片方を外し、

自分に渡してくれた。

 

イヤホンを付けてみるが、

何も聞こえて来ない。

画面も何も映っていない。

 

でも、

しばらくすると

何かが聴こえて来て、

テレビの画面には、

小説らしき文面が

テロップの様に、

流れ始めて来た。

 

目を凝らして、

画面をよく視ようとした瞬間、

目が覚めた。

 

(・・・・・。)

 

よく、

亡くなった人は夢には出てこない

と言うが、

オフクロはたまに出て来る。

 

ただ、

言葉を発した事は

今まで一度もない。

 

ただでさえ

それが驚きなのに、

「寂しい。」

なんて言葉を

オフクロの口から聞くなんて、

あまりにもショックだった。

 

それに、

“銀河鉄道の夜”

と言うワードが何故出てきたのか

不思議でしょうがなかったので、

枕元にあったスマホで調べてみた。

 

サイトで

いろいろな情報を調べてみると、

自分なりの答えを

得る事が出来た。

 

この”銀河鉄道の夜”、

一言で言うと、

「本当の幸せとは。」

について書かれている。

 

解釈は難しいけれど、

「自分の身を犠牲にしても

他者に尽くす事が本当の幸せ。」

と言う事。

 

(それって、

オフクロの生き方そのものじゃん。)

 

長くなるから

いちいち内容は書けないけど、

オフクロの生き方を

見てきたからこそ、

今の自分がある。

 

でも、

そんなオフクロから

発せられた

「寂しい。」

の意味は何なんだろう?

 

たぶんだけど、

ずっとずっと家族のために

頑張って来たオフクロだけど、

オフクロだって人の子、

辛い時も沢山あったと思う。

 

その弱い時のオフクロが

自分の夢に出てきたのかなと思う。

 

生前だって

そんな時があったろうに、

息子として

しっかりと支えてあげられなくて

気付いてあげられなくて、

本当にごめんなさい。

 

いつも心の支えだったオフクロが、

このオレに対して

「寂しい。」

なんて言うなんて、

あまりにも悲し過ぎる。

 

でも、

この夢が

何かのメッセージなのだとしたら、

「アンタは完璧主義だから、

あまり頑張り過ぎない様に。

アタシだって、

こうして弱音くらい吐くんだから。」

そう解釈する事にした。

 

生前、

オフクロがいつも言っていた

「アンタは

自分の好きな様に生きなさい。」

(”好き勝手に”ではなく、

自分の思った通りに。)

その言葉通り

生きて行くだけ。

 

もちろん、

目標はオフクロの生き方そのもの。

さすがにオフクロとまでは

いかないけど、

ずっとずっと追いかけて行きたい。

 

それにしても

不思議な夢だった。

 

親父のケーキや

姉貴のトイレも、

何の脈絡も無い訳ではなくて、

二人のそれを現していて

(ああ、なるほど。)

と思わせた。

 

起きてからすぐ、

銀河鉄道の夜

(宮沢賢治著・最終形)

を読んだ。

 

やはり不思議なのは、

夢の中で全く出てこない

“銀河鉄道の夜”が、

何故自分には分かったのか。

とか。

 

蠍の話とかも

自分が蠍座だからかなあとか。

こじつけ感はあるけれど、

あながち無関係じゃないのかも。

とか。

 

これを読んで、

誰もが”本当の幸せとは?”

になるかどうかは分からないけれど、

日常の

ほんの些細な事の繰り返しが

ほんの些細な相手を思いやる気持ちが、

幸せに繋がるのだろうとは思う。

 

そういう意味でも、

“生き方”を自ら示してくれた

オフクロには感謝したい。

 

この銀河鉄道の夜、

凄く集中しないと

頭に入って来ないけれど、

(すぐ置いて行かれる。)

興味深い本だった。

 

30分程で読めるので、

(且つ無料で)

興味のある人は

時間がある時にでも。